モルモットについて
モルモットについて
モルモットはげっ歯目、テンジクネズミ科、テンジクネズミ属に属する動物です。
一般的に気が小さく、臆病な動物なので、静かな物音が少ない場所で飼育するのが良いと考えられます。過度な触れ合いもストレスの原因となるので気をつけましょう。
食餌としては専用のフード(ペレット)を中心に牧草、ビタミンCを多く含む野菜、果物などをバランスよく与えます。ビタミンCは必須ではありますが、ペレットや牧草を食べなくなるほど与えないように注意する必要があります。
モルモットは排泄量が多い動物です。
不衛生なままにしておくとダニやノミなどの寄生やカビなどの皮膚病にかかり、様々なトラブルの原因になります。そのため、頻繁にケージの掃除を行うなど衛生面には気をつけなければなりません。
不正咬合について
<症状・原因など>
不正咬合とは上下の歯の咬み合わせに異常が起こっている状態のことをいいます。
切歯(いわゆる前歯)の不正咬合と臼歯(奥の方の歯)の不正咬合では原因や対応が少し異なってきます。
モルモットの場合、切歯不正咬合が起こることは稀です。遺伝性や外傷性(ケージをかじる、顔面の打撲)も稀で、臼歯の過長による臼歯不正咬合が原因で切歯の不正咬合も引き起こされている場合も多いです。
臼歯不正咬合では繊維質の少ないペレットや野菜、オヤツによる臼歯のすり合わせ運動不足が原因で臼歯の過長がみられることが一般的です。
症状としては、切歯不正咬合ではうまく食餌や盲腸便を食べられなくなったり、毛繕いができず被毛が粗剛になったりします。
臼歯不正咬合では伸びた臼歯が頬や舌に接触することで食欲の低下が起こったり、よだれの過度な分泌で口周りが濡れていたり、歯ぎしりが多くなるなどの症状がみられます。また、食欲はあるが牧草などのかたいものは食べず、柔らかいものは食べるようになったりする場合も初期にはみられます。これらの症状はうさぎさんと比較すると早期の段階で確認されやすいです。
不正咬合から合併症として顔面膿瘍、湿性皮膚炎、鼻涙管障害、消化管うっ滞なども引き起こされる場合もあります。
<治療・予防など>
切歯不正咬合ではおとなしい子であれば無麻酔下で治療用ドリルによるカットが可能です。動いてしまう場合には鎮静処置が必要になる場合もあります。
臼歯不正咬合ではモルモットさんの口は大きく開けると顎関節症のリスクもあり、無麻酔下では事故の可能性もあるため、全身麻酔下で奥歯のカットを行う場合がほとんどです。
不正咬合が原因であった場合、歯のカットを行うことで食欲が戻ってきます。しかし、一度異常な方向に延びてしまった歯が矯正されることはまれで一生涯の治療が必要になることが多いです。
予防としては野菜の多給を控え、高繊維な食餌の割合を増やすことにあります。
外部寄生虫について
<症状・原因など>
モルモットでは外部寄生虫としてヒゼンダニ(疥癬)などのダニ類やシラミが問題になることが多いです。
症状としてはヒゼンダニでは強い掻痒感や皮膚の発赤がみられ、シラミ類でも搔痒感がみられますが、白いフケのようなものがみられることも多いです。
診断としては被毛の検査や皮膚掻把検査(皮膚の表面を少しけずり顕微鏡で確認する検査)を行うことにより寄生虫自体や虫卵をみつけることができます。皮膚掻把は行わずに試験的に駆虫薬を使って反応を見る場合もあります。
<治療・予防など>
治療法としては駆虫薬を皮膚へ滴下したり、注射をしたりします。
環境中でも一時的に生存するため、飼育環境の衛生状態を清潔に保つことも重要になります。
乳腺腫瘍について
<症状・原因など>
乳腺腫瘍はモルモットの鼠径部(大腿部の付け根あたり)に左右一対で存在している乳頭付近に発生する腫瘍です。
全体の数でみてみると70%は良性の繊維腺腫とよばれる腫瘍ですが、30%程度は悪性の腺癌といわれています。腺癌では肺へ転移する場合も稀にみられるため、呼吸状態には注意が必要です。国内の調査では雄のモルモットで乳腺腺癌が発生しやすいという報告もあるため、雌じゃないからといって油断はできません。
症状としては片側あるいは両側の乳腺が腫れてきたり、血様の分泌物がみられたりします。また、モルモットは足が短いため、腫れた乳腺が床に擦れて、自潰(腫瘍の表面が壊れて出血がみられるなどする)したりもします。
<治療・予防など>
治療としては外科的に切除手術を行います。腫瘍が自潰して細菌感染が二次的に起こっている場合には、炎症止めのお薬や抗生剤を投与して一度状態を落ち着かせる場合もあります。
腫瘍は巨大化する場合もあり、サイズによっては摘出が難しくなることもありますので早めに対応することが重要になります。