エンセファリトゾーン症(微胞子虫症)
症状・原因など
症状としては斜頸と呼ばれる首を傾けるような姿勢が比較的有名で、この症状が強く発現すると起立困難となります。原因となる微胞子虫のEncephalitozoon cuniculiが脳などの中枢神経系や眼の水晶体、腎臓などに感染して発症する病気です。
斜頸以外の症状としては眼振(眼の揺れ)や旋回運動などの前庭症状が最も多くみられ、次いで四肢または両後肢の不全麻痺がみられる場合もあります。
水晶体への感染での症状としてはぶどう膜炎や白内障といったものもみられます。
以上のような症状をみせることもありますが、一方で感染経験はあるが無症状(不顕性感染)のウサギさんも6割程度いると報告されています。
免疫力の低下(衰弱、年齢、他の疾患)がきっかけになって症状が出ることがほとんどです。
そのためエンセファリトゾーンの抗体検査が無症状のウサギさんでも陽性として結果が出る場合も多いので、確定診断とはならず、結果の解釈に注意が必要です。
治療法・予防法など
現在のところ根拠の証明された治療法はありませんが、前庭症状を示すエンセファリトゾーン症に対し、フェンベンダゾールという駆虫薬を4週間投与することで治療効果がみられることは確認されています。
食欲の低下がみられる場合も多く、食欲増進薬や皮下点滴なども併用し、治療を進める形になります。
また、エンセファリトゾーン症は生前の確定診断は困難で仮診断となるため、斜頸などの似たような症状を示す中耳炎や内耳炎、脳腫瘍・脳炎などの可能性も考慮していくつかのお薬を併用するケースもあります。
薬の効果が現れるまで(2週間以上かかる場合があります)食餌を自分で取れない場合があり、飼主さんの手厚い看護(強制給仕)が必要となります。
予防は中々難しい部分もありますが、生活環境の大きな変化などのストレスによって急性発症するという報告もあるので、環境を整備し、ストレスの軽減に努めることで予防につながる可能性があります。